高3の娘が今日もセンター試験。

昨日と比べて今日は試験の始まる時間が遅いらしく、何だか娘はまったりしていたのでしゃべりかけてみた。しゃべりかけてみた、なんて言っても、いつも普通にしゃべっているのだけれど。

「あれー、なんか昔のママに似てきて、可愛くなってきたんじゃないの?」

「自分の遺伝子を継いでるから、可愛く見えるんじゃないの?」

「あれー? 遺伝子とか言い出した? 今日、生物の試験でもあるの? 
でも最近、俺、思うんだけど、個別の遺伝子とか特別に意味なんてないんじゃないかって。大切なのは人間全体の遺伝子であって、個別の遺伝子とか、遺伝子全体にとっては、大いして意味なんてないんじゃないかって思うんだよねって、この話もっと聞きたい?」

「聞きたくない」

「ダーウィンの進化論っさー、個別の遺伝子変化が積み重なって大進化に至るっていう話なんだけれど、これって、近代の価値観にあわせた単なる仮説なんじゃないの? 個別の遺伝子が大切だなんて、近代的趣味趣向に合わせられた単なるイデオロギーなんじやないの? だってその証拠に、150年たったって、進化論自体、全然証明出来てないじゃん」

「パパー、千円ちょうだい。電車代」

「はい、千円。気を付けて行ってきてね。
北の大地には、ある種の蝶がいて、その蝶々は毎年何千匹となくさらに北に向かって飛び立つらしいよ。飛んだところで、そこはめっちゃ寒いから、北に向かって飛んだ蝶たちはみんな死んじゃうんだって。一見無意味な行動のような気がするんだけど、もし温暖化でより北の大地が温かくなっていたら、そこで繁殖できるという意味らしいよ」

「その話は聞いたよ」

「何回でも聞きなさいよー。でもすごくない? 何千、何万の蝶が、何の生きる根拠もない北に向かって飛び立つんだよ。ミネルバのフクロウは夕暮れに飛び立つ、とか甘いよね。ある種の蝶は夜明け前に飛び立つんだから」

「行ってきまーす」

「いってらっしゃい」