ネタバレ的なことを書いてしまっています。ライトノベル出身の作家さんで、直木賞も取りました。

とびきり顔の造作が美しいとされる高校3年生の女の子の日常生活を描いた小説でした。


この小説世界における整合性の根拠は、主人公の女の子の「かんばせの美しさ」だけです。
正直、こういうのはどうかなと思います。言葉で美しいと言われても、ここは漫画ではなく小説世界なのですから、美しさの実感みたいなものがつかめないです。
私の過去の美少女の記憶というものを、この少女に当てはめていけばいいのでしょうが、そこまでする必要も感じられないです。

個別の女性の美しさに関する価値判断というのは、ほぼ男性の性欲に依存しているわけで、あまりこだわるほどのことでもないと思います。
美しいとされる若い女性を男性が過度にちやほやして、何だか勘違いしてしまった女性というのはいっぱいいます。
私はトラックの運転手をしているのですが、無理な割り込みをしてくるのは、だいたいにおいてかつては美しいとされていたであろうオバサンです。男は自分に譲ってくれるものだと勝手に判断しているのでしょう。迷惑千万です。

少女の顔が人並み以上に整っているからと言って、それだけで小説の整合性の根拠になると考えるのは甘すぎます。さらには女性の人間性に対する冒とくです。
この小説が何かの漫画のノベライズというのであれば、もしかしたら許容範囲かとも思うのですが、そうではないのでしょう? 

この小説は280ページぐらいの薄い本なのですが、48歳のすれたオジサンが読むにはちょっとキツすぎました。