私のは母親は母親の父親(私の母方のおじいさんですな)が創った会社の常務をやっていました。


その会社をA物産としておきましょうか。もちろんしがない中小企業、どちらかというと中企業です。

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母親はそのA物産の株5パーセント、500円額面で1万株持っていたのです。相続税の申告において中小企業の株の評価というのは少し複雑なのです。被相続人が主要株主と認められたら時価評価、認められなければ無配の場合(大概の中小企業は無配だと思いますが)額面の二分の一です。


A物産の税理士に聞いたらですね、時価評価は正確に計算しなくては分からないのだけれども、だいたい一株2500円から3000円の間なんだそうですよ。1万株ですから、2500万から3000万ということになりますな。


土地と貯金の相続税評価額が1億なわけで、私がA物産の主要株主ということになれば、これが1億3000万になるんです。主要株主ということにならなければ1億250万です。


20年ほど前は、1億250万なら税金は400万ぐらいですが、これが1億3000万になると1000万ぐらいになります。そもそもですよ、相続財産の中身は売れない土地や株ばかりなわけで、税額が400万と1000万では負担が全然違ってきます。おまけに相続税というのは3ヵ月の間にキャッシュで一括払いなんですよ。


問題はですね、中小企業における主要株主とは何か?ということです。


主要株主とは、主要株主(同語反復で申し訳ないのですが)と認められた人から6親等以内の血族、もしくは3親等以内の姻族ということらしいです。同族会社に相続税を課税するための税務署なりの基準なんでしょう。


A物産の場合、主要株主というのは社長であり、、A物産の株の過半数を持つ母親の兄(私のおじさんということになります)です。おじさんというのは4親等の血族です。


このおじさんというのが母親が死ぬ3ヶ月前に死んでいるのです。死んだとは言っても、その子供(私のいとこになります。ちなみに5親等の血族です)は、A物産の部長で、父親が死んだ後、普通に考えればA物産もA物産の株もこいつのものでしょう。いとこは5親等の血族で、ちよっと足りないんだよなー。




おい、ちょっと待て




おじさんには奥さんがいただろう。私からすればおばさんになるこの人が、A物産の株を相続することだってありえるだろう。血のつながっていないおばさんは、6親等以内の血族でも3親等以内の姻族でもないぞ。


いとこに話を聞くと、A物産の株は誰が引き継ぐかまだ決まっていないんだそうだ。


大チャンスだよー。


税務署に行って、この話をしたのです。そうしたら、税務署の人はこういうのです。


「そういうことだろうと思いました。そのいとこっていう人はA物産で働いているのでしょう。うん、部長なんですか。あなたはA物産と関係なく、東京で働いているのですね。この税法はですね、株を持っていることで利益を得ている人に課税しようということなわけで、あなたは株を持っていることで利益を得ていない、こう言ってはなんですが、あなたのいとこは30歳?の若さで中小企業といえどもA物産の部長をしているのでしょう?立場が違います。うん、額面の半分の申告でいいのではないですか」


神様ありがとーーう。DANKE SCHOーーN


結局1億ちょいの金額で、相続税の申告をしました。税額430万でした。


税務署というのは銀行が巻いた100万の束の帯を切って、万札を数えるんですよ。


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