話の内容というのは、
私たちのこの現代においてサイコキネシスを使う人達が発見されます。この念動力者達と一般人との戦闘によって文明が崩壊し、いろいろあって1000年後のこの小説の舞台では、日本の人口は念動力者のみ5万人で、いくつかの村に分かれて暮らしているという状況になっています。人間個々人の持つ念動力というのは極めて強力で、注意深い統制によって村の秩序は支えられているということになっています。
主人公は関東唯一の村に住む女性で、小説初期は14歳だったのですが、話が進むにしたがって年を重ねていきます。
村の周りにはバケネズミという言葉をしゃべる人型の大型ネズミの集団が暮らしていて、村人はその強力な念動力によってバケネズミを支配しています。主人公の女性は、村とバケネズミの狭間で、まあなんというか世界の成り立ちを理解していくということになります。
念動力なら私も使えますよ。現在、念動力によって脳内シナプスを発火させて指を動かしキーボードを打っていますから。
どうでもいい話は置いときまして、この小説は日本SF大賞を受賞しています。SFですから気楽に読めるのかなーと思っていたのですが、なかなかそういうわけにもいかないような作りになっています。
バケネズミというのは動物ということになってはいるのですが、言葉をしゃべる人型の大型ネズミとなると、これはもう人間でしょう。ここが引っかかってしまうと、最後まで引っかかりっぱなしです。
実際に、念動力で楽をしている人間より、鍛えられたバケネズミの指導者のほうが頭が切れていたりするのです。
話の大枠が、念動力にあぐらをかいた人間が徹頭徹尾、喋る人型ネズミを差別するというもので、これはSFと言えるのかという疑問はあります。私、SFに詳しくないのですが。
人間とネズミについての関係性を脇において読むなら、これは結構面白い小説で、文庫で1500ページほどあると思いますが、その長さも気にならないです。アクションも念動力アクションですから、とにかく派手で楽しめます。
この小説は難しいことを考えずに読むのが一番です。オチもあるのですが、あまり気にしない方がいいと思います。
SFですから




magamin1029