内容はというと、高校2年の男の子が母親の再婚相手を完全犯罪を目論んで殺すというものだった。

この少年、頭がよくて行動力があって、という設定になっている。再婚相手を殺すのにハリを使って感電死させようとするのだけれど、使うハリはステンレス製がいいか銀製がいいか検証されたりする。銀製のハリは折れやすいということで却下されるのだけれど、何だか変にリアリズムがある。
この辺りは軽く端折ってくれると読みやすいと思うのだけれど、主人公の少年はハリの素材についてしつこく悩む。

とにかく話が重い。話の細部も重いのだけれど、話のメイン部分も重い。
母親の再婚相手がクズなので、母親と妹のためにこのクズを殺そうとするわけなのだけれど、これはエディプス的だろう。父親を乗り越えることで少年が成長するという物語かもしれないが、私は個人的に思うのだけれど、父親って無理に乗り越えるものでもないだろう。
私には21歳の息子がいるけれど、私を乗り越えて成長しろなんて思わない。私が二十歳のころはヘーゲルを読んでいたから、お前もヘーゲルを読めとは言わない。ヘーゲルなんて読んでもロクなことがない。昔彼女(今の妻)が部屋に遊びに来た時に気にせずヘーゲルを読んでいたら、取り上げられて壁に叩きつけられたことがあった。

この「青の炎」という小説は、出来はいいのだけれど話の内容が無駄に重い。反抗期前の子供を持つ若い知的なパパが読むのはいいのではないかとは思うけれど、それ以外の層の人が読むには重すぎるだろう。