「東京奇譚集」のハナレイ・ベイ映画を見る前に読んでおくというのもいいでしょう。

私の村上春樹読書体験というのは、
ノルウェイの森」を読んで、
これはいい、日本近代文学を代表する名作だわ。胸にジンジンくる。
海辺のカフカ」を読んで、
なんだこれ、ノルウェイの森の劣化版だな。直子ファンとか怒り出すんじゃねーの。
アフターダーク」を読んで、
ひどいなこれは。村上春樹、寝ながら書いただろう。
というものだ。

「東京奇譚集」は短編集なのだけれど、正直本当に面白いのかと疑いながら読み始めた。
これが結構おもしろかった。

「偶然の旅人」

村上春樹の友達が神奈川のショッピングモールでオバサンにナンパされてホテルに誘われたけれどヤンワリ断ったという話。ショッピングモールでおばさんに逆ナンというのが奇妙なリアリズムを生む。

「ハナレイ・ベイ」

サーフィンの事故で一人息子を失ったオバサンと、サーフィン好きな二人の大学生とのたいして心も温まらない話。オバサンの口の悪さと二人の大学生のぐだぐださとのコントラストがいい。

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」

タワーマンションの24階と26階の間で行方不明になった男を捜すボランティア探偵の話。しかしこの探偵、24階から26階までの階段しか探索しない。タワーマンション高層階の階段なんて誰も使わないだろうと普通思うのだけれど、ジョギングしている人がいたり子供の遊び場になったりと結構階段ライフって楽しそうなんだよね。そのうち行方不明になった男とかどうでもよくなってくるから不思議。

「日々移動する腎臓のかたちをした石」

主人公の男性は、男には人生の中で運命的な女性が3人現れる、と確信していて、この目の前の女性がその2人目かどうかと考える話。読みながら、私には運命の女性がもう3人現れたのかと考える。妻を3人のうちの1人に数えないとまずいよね。じゃあ後の2人は誰にしよう、なんて思っているうちに読み終わってしまった。

「品川猿」

この猿が喋るんだよね。喋り方が「海辺のカフカ」の中田さんにそっくり。これはまずいでしょう。

このように全ての短編でそれなりに楽しめるという。村上春樹、やれば出来るじゃないか。


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