現代日本では生涯未婚率が上昇している。1965年において男性の生涯未婚率1.50%女性の生涯未婚率2.53%から、2015年において男性の生涯未婚率23.37%女性の生涯未婚率14.06%、となっている。

この数字で驚くのは、現代のオジサンの未婚率の高さではなくかつての日本の既婚率の高さだ。男性の生涯未婚率1.50%?!! とにかくでもとりあえずでも結婚しろみたいな強力な社会的雰囲気があったと推測される。そういえば私が子供のころ1980年代、まわりのオジサンオバサンはほぼ例外なく結婚していた。

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【日本はいつから皆婚社会になったのか】


日本における皆婚社会というものがいつごろ成立したのか。この本によると、どうやら16世紀頃らしい。先進地域である畿内では1500年ごろから、畿内の周辺としての尾張、播磨では1550年ごろから、その外側では1600年ごろから皆婚社会に移行した。だからこの皆婚社会というのが中世と近世の境目といえるだろう。

諏訪地方おいて17世紀後半の平均世帯規模は7.04人だったのが、幕末においては4.25人になっている。世帯内の奴属農民や傍系親族が独立したり消滅したりして世帯規模が縮小した。
どういう変化が起こったのかというと、労働へのモチベーションの低い昔ながらの作男や結婚の見込みのない次男や三男を抱えた大家族で労働するより、そのようなものを独立させてそれぞれが労働する方がトータルとして生産性が高くなるという、さらにその合理性が社会の雰囲気となって結婚が強制力となっていったのだろう。

日本の皆婚社会の歴史というのは、実は400年の歴史があった。

時代と関係なく、男と女の互いに互いを求め合う情熱は同じであるという。男女間の情熱を満たしつつより合理性の高い社会体制に移行したのが、室町末期以降の日本だったということなのだろう。


【生涯未婚率上昇の理由について】


しかし、日本の400年の伝統であった皆婚社会は、現代において完全に崩れた。この理由なのだけれど、私の観察するところ結婚したくないヤツは結婚しなくなったというのはある。もっと遊びたいから結婚お断りみたいな。このパターンは、男性の場合10%弱はいるのではないだろうか。
そして残りの10%強の男性が、結婚したくてもできないというパターンだと思う。

生涯未婚率において男性より女性の方が9%も低い。とにかく女性優位なんだよね。ここ20年ぐらいで女性も当たり前に仕事をするようになって、変な男と一緒になるよりは一人で生きていく方がマシだと考えるようになったのだろう。
常識的な判断だと思う。能力のある女性が、この世界で自分には何がどれだけできるのか試したいと考えるのなら、それは実行されなくてはならない。

男性未婚者は下層に多い。私はトラックの運転手をしているのだけれど、周りの30代40代の男性の半分は未婚だ。こいつらに多いパターンは、女性に対して過度な期待をしているということだ。一番多いのが、親の面倒をみてほしいということ。女性にとって、この要求はかなりきついものなのではないだろうか。
男性にとっては、昔の女性は嫁ぎ先の親の面倒をみるのが当たり前だったのだから、今の女性もお願いしますということだと思うのだけれど、今と昔は平均寿命が違う。
大正期においては、結婚時の夫婦の平均期待寿命は夫61.5歳妻61.0歳だった。1990年時点では、夫77.1歳妻82.7歳となっている。現状ではもっと伸びているだろう。かつては女性にとって、夫の引退した両親との同居は6.7年だったのだけれど、現代では20年以上にもなる。アリ地獄に落ちる可能性があるなら、女性が尻込みするというのは女性の責任ではない。


【生涯未婚率上昇の結果について】


未婚率が上昇して出生率が低い結果、日本の人口が減少しているのだけれど、どこかの時点で均衡するだろうとは思う。
400年前に皆婚社会となり人口の増加が始まり、日本は中世から近世へと時代のフェーズが変わった。本当の時代の変化というのは、明治維新とか太平洋戦争とかそういうイベントにではなくて、未婚率とか人口の変化とかそのようなものにこそあるのかもしれない。
日本の人口がどこかの時点で均衡した時には、今とは違う別の世界が現れているだろう。


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