上巻のみの書評。書評というか感想みたいな。まだ上巻しか読んでないし。

あらすじとしては、アフリカ大陸中央部のコンゴで人類の進化系の子供が生まれて、その子供を殺そうとするアメリカ政府と、守ろうとする幾人かの人たちの話。
生物学のウンチクも取り込んで、小説自体がかなりリアルな感じになっている。生物は進化しているということになっていて、この「進化論」を未来に適用すると、サルから人間に進化したのと同じように、人間から超人みたいなものに進化するのではないか、というのは考えられなくもない。
そして、アメリカ対超人という枠組みで下巻に続いていくのだろうという。

こんなふうにざっくばらんに書いちゃうと少年漫画みたいになってしまうのだけれど、実際は生物学の知識をふんだんに取り込んでいて、かなりリアルなストーリーになっている。生物学の勉強にもなるレベルだろう。

進化というのは遺伝子の突然変異によって起こるとされている。
もうちょっと詳しく言うと、
遺伝子というのは4種類の塩基がひも状に連なったものが、2本一組になって二重螺旋状態で連なったものだ。生物のタンパク質は20種類の必須アミノ酸で構成されていて、4種類の塩基が3つ一組で一つの必須アミノ酸をコードしている。遺伝子の突然変異というのは、この塩基がどこかで1つ変わってしまうということ。1つ変わると、コードするアミノ酸が変わってしまう。アミノ酸が連なったものがタンパク質であって、あるタンパク質を構成するアミノ酸が一つ変わるだけで、そのタンパク質の形状が変わってしまう。このように遺伝子の変異というのは重大で、大概においてはマイナスの作用なのだけれど、稀に生物の生存に有利な変異が起こって、これが蓄積されることで進化が起こるとされている。

生物学ではこのような進化の説明がなされているのだけれど、はっきりいって私はこの論理を信じることが出来ない。いかにももっともらしい論理の積み重ねのように見えるのだけれど、よく考えるとありえないと思う。

例えばキリンの首について。キリンの首が長くなったのは、首が長くなるような突然変異の積み重ねということになる。しかし、首が長くなるだけでは駄目でしょう。首が長くなると同時に、首を支える体の骨格、筋肉が発達しなければ、全体を形成することは出来ないでしょう。首が長くなる遺伝子突然変異と首を支える体の骨格の遺伝子突然変異とその骨格を支える筋肉の遺伝子突然変異が、同時に起こってさらにそれが積み重なるなんていう確率はどれぐらいなのだろうか。1000万年かけてキリンの首が長くなったとして、1世代10年として、100万回の遺伝子コピーとなる。100万回程度で、生存に有利な突然変異同時多発積み重ねなんていうことが起こるものだろうか。

普通に考えたらありえないレベルだと思う。

生物の進化というのは謎なんだよね。考えてみれば不思議な話で、地球や土や鉄や空気は、変化はするけど進化したりしない。進化するのは生物だけ。
どういうことなのだろうか。

私の仮説なのだけれど。
ある物体が高いところにあるとする。何かのきっかけでその物体が落下するとする。その物体は落下する。加速度をつけて落下する。なぜかというと、重力という力に引っ張られるからだ。私たちはその物体を外から見ているから落下しているとわかるけれども、その物体の内側からしか世界を判断できないとしたらどうだろうか。
その世界においては、加速度という不思議な現象が世界には存在していて、加速度の原因をその世界の内在的な原因から説明しようとし始めるのではないだろうか。例えば、加速度とは突然変異としての偶然、みたいな。

生物としての枠組みの外に生物が出られないとするなら、生物を進化させる力を生物が理解するってことは出来ないということになるのかな。この「ジェノサイド」の超人も、ホモサピエンスより知的レベルは高いだろうが、生物の枠の外に出てその力の根源を認識するのは無理なのかなーなんて思う。

本を読みながら、関係のないことを際限もなく考えてしまうという、「失われた時を求めて」状態。