「監獄的監禁について」
パノプティコンというものは、フーコーが発見したのだろう。

パノプティコンとは一望監視装置というもので、その中では誰かに見られているということで秩序が維持されるわけだ。
フーコーは、1970年代のフランスもこのパノプティコン状態ではないのかという。フーコーはこのように言う。

「私たちは一望監視的社会に生きています。完全に一般化された監視組織が存在します。刑罰制度、司法制度はその一部ですが、刑務所が今度はその一部を成し、心理学、精神医学、犯罪学、社会学、社会心理学はその結果です」

フーコーは考えすぎたと思うね。
秩序の根拠が失われた場所において、パノプティコン程度のシステムで秩序が形成されるとは思えない。想像するにきわめて不安定なシステムだろう。
ニーチェは、近代ヨーロッパの秩序の根拠は、プラトン由来の普遍的観念とそれを保障するキリスト教への信仰だ、言っていたけれども、現代フランスにおいても、秩序の根拠は近代のままだろう。

日本の話。仕事とかでも同じで、見てないとサボるヤツというのはいるのだけれど、そんなヤツでもだいたいにおいては、仕事を本当はやらなくてはいけないという気持ちはあるよ。そもそも働く気の全くないヤツに、パノプティコン程度のシステムで継続的に仕事をさせることが出来ると考えるなら、まったくおめでたいだろう。