昭和史についての本というのをかなり読んだつもりだけれど、この本はハイレベルの部類だろう、まだ半分しか読んでいないけれど。  岸信介と朴 正𤋮は、ともに共にあの満州帝国にその起源を持つという。 岸信介と満州帝国とのつながりというのは有名だ。総力戦思想の実験場として、満州が利用されたという。 これ、利用されたのはいいのだけれど、実際に太平洋戦争が始まって、実際に総力戦思想を日本本土で実践してみたら全くうまくいかなかった。軍部においは、陸軍と海軍とは対立しっぱなし、陸軍海軍それぞれの内部もセクショナリズムで合理的総力戦体制とは程遠かった。 満州ではうまくいくかに見えた総力戦体制が、本土ではうまくいかなかったというのは、それだけ戦前日本には伝統的しがらみが多かったということだろう。  あの太平洋戦争の大敗北で、日本的伝統のしがらみというのはかなり薄れた。この機に乗じて、満州仕込の国家社会主義的政策を遂行したのが岸信介だろう。 日本が戦後、急速に経済発展した理由というのには様々なものがあると思うのだけれど、最も大きい理由というのは、戦前において日本が総力戦を戦った記憶にあるだろうと思う。     後の大韓民国大統領 朴 正𤋮 は、太平洋戦争終戦時、満州国軍中尉だった。満州国軍と言ったって内実は関東軍だし。 韓国は朝鮮戦争のあと、1961年、軍事クーデターによって朴 正𤋮が実権を掌握、開発独裁政策を実践し、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の高度経済成長の基盤を築いた。 岸信介も朴 正𤋮も、その起源は満州にあり、その意味では、日本と韓国というのは兄弟国家だろう。  兄弟だから仲がいいとは限らないのだけれど。