ヘーゲルは「歴史哲学講義」の中で、中国の精神状況、さらに言うなら、中国人の自己同一性について描写している。どうせヘーゲルは中国の事なんて知らないだろうと思っていたのだけれど、これが結構的確だ。

ヘーゲルは19世紀前半の人で、中国なんてヨーロッパとは一番関係性の薄い地域で、ヘーゲルといえども世界史全体をカバーするというのは難しいだろうと思っていたのだけれど、これがそうでもない。細かいところを突っ込もうと思えば出来るだろうけれど、大筋では間違っていない印象だ。

ヘーゲルの歴史哲学とはどのようなものかというと、人間の自己同一性がある一定レベルを超えると、その人間の集団が「国家」という整合性をもった統一体を形成する。整合性を持った国家は、その成員をより自己同一性を持った人格に陶冶する。人格の陶冶された国家の構成員は、国家という集合をさらに整合性を持ったものへと再編成する。

すなわち、国家と国民個人というのは、その一体性において互いにフィードバックしあい、それぞれの一体性を強化しあうような関係にあり、これをヘーゲルは進歩と考えている。

国民から国家へ、国家から国民へ。互いにその自己同一性を高めあう。もしかしたら、そういうことってあるかも。

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