不覚にも泣いちゃったよね。  これまでの日本の戦争映画というのは、反戦映画かもしくはその反動ということになりがちだったのだけれど、この映画は、アニメながら今までのイデオロギーの枠を破ったかのような真理を抱えている。   戦後、あの戦争について多くの事が語られてきたけれども、大概のものが、あの時ああすればよかったみたいな結果論だ。もっと早く降参していればとか、国力を比べれば戦争するべきではなかったとか、東條はクズだとか、近衛はバカだとか。   このような論理に欠けているのは、歴史に対する謙虚さだ。  人間には限界がある。誰も永遠に生きることはできない。人間個人の有限性というものが、人間の世界観の柱の一つだろう。 にもかかわらず、あの時あーすればよかったとか、こーすればよかったとか、失敗の原因はこれだとか、私はこのような傲慢な意見に、強烈な違和感を持つ。 もしかして、お前ら永遠に生きようと思っていないか? 当たり前の論理を展開しているつもりでも、その前提がありえないんだよ。  日本が成長している間は、永遠に成長する、永遠に生きる、みたいな馬鹿げた前提に立脚した思想というのがありえたのだけれど、今の日本においては、その前提条件は崩れた。「この世界の片隅に」という映画は、あの戦争についてやっとまともな議論が出来る時が来たという、まあ、証明みたいなものだろう。