平均点以上の映画だろうとは思った。 まず、全体の整合性が取れている。さらに、事件は実は知り合いのフィリピン人の父親を探すためだったという告白で、映画自体の統一性が補強されている。 さらにこの映画の優秀な点は、なぜ統一性が必要なのかという説明のためのセリフが存在するところだ。例えば、主人公の「誇りがなければ、この世界はただ生きるだけになってしまう」 とか、女刑事の「この世界は、生きる価値があるのに」とか。  映画とか小説とかの近代表現形式では、統一性とその根拠が織り込まれていれば、作品として、ある一定のレベル以上になる。  これは別に誰か有名人の受け売りではなく、全く自分で思いついたことで、事実かどうかはさだかではない。しかし経験的に大枠は外していないと思うよ。  この「予告犯」という映画は、統一性とその根拠が織り込まれていて、平均レベル以上の出来栄えであることは基本的にはに保障されている。後は、どれだけ丁寧に仕上げられるかということになるだろうけれど、残念な部分は残る。  主人公は、あれだけ優秀な犯罪計画を立てられるのに、かつての会社でのあの扱われ方というのは、ちょっとずれるところがある。そのずれた部分をかなり長々と描写していたので、二度見る気がしなくなる。シンブンシグループは4人いるのだから、主人公の過去はスルーして、他の3人のことを面白い感じでやればもっと軽いふうになって、安心してもう一度観れる映画になったと思うけれど。     あと最後に、底辺肉体労働っていうのは、あんな過酷なものではないよ。派遣を雇うのも、あまり酷い扱いをすると、派遣の間でブラック情報が回っちゃって、とんでもないのを回されたりするようになる。結果、派遣と雇う側で、ある種の均衡が発生する。これぐらいの仕事にこれぐらいの態度で接すれば、これぐらいのレベルのヤツが派遣されて来るみたいな。