認知症の母親を抱えたバツイチ息子の話だった。  長崎を舞台にして、ゆっくりした見やすい映画だった。しかしうがった見方をすれば、親が認知症になるのはしょうがないとして、後はこうだったらまだマシなんだけどという願望交じりの話だったと思う。    世の中、できた人間ばかりではないから、ボケ老人に誰もが優しく接してくれるわけではない。さらに、映画に出てきたグループホーム、かなり高そうだよ。誰でも入れるレベルではないだろう。  未婚男子が50歳になって、80歳の母親がぼけたらどうする? この映画のように、ボケた母親の世界にとことんまで寄り添えるだろうか。こういうことは、出来そうで出来ない。日頃から人の話を聞かない人間が、親とはいえボケた人間の話を聞けるわけない。この映画の息子というのは、ハゲのダメオヤジ的な描かれ方をしているが、かなり優秀な部類だろう。私と同年代の団塊ジュニアは、親がボケた時のための心の訓練をする必要はあるだろう。  私個人は、20年以上前に両親が死んでいるので関係ないのだけれど。