第2編第2章で、良心について語っている。   
 
ハイデガーは良心にも二種類あるという。一般生活内の限られた良心と、心の底から呼びかけてくるような良心と。  

ハイデガーは、人間の意識の下層部には、意識のありようを決定するような基礎構造を想定しているのだと思う。心の底から呼びかけてくるような良心、というものは、その意識の基礎構造から立ち現れる、ということになる。

陽明学っぽい考え方だと思う。ハイデガーは、ナチスの中で実行部隊側の方に思想的にコミットしたと言われているけれど、これを当時の日本で考えると、統制派よりも皇道派の方に肩入れしたと考えれば分かりやすいだろう。

陽明学とか皇道派とか話し出すときりがなくなってしまうのでハイデガーに戻るけど。
  

ハイデガーはこのように言う。

「ひとにとって、不気味さのうちで自分へと単独化され、無へと投げ込まれている自己ほどに疎遠なものが他にあるだろうか」 

ワイマール体制の中で苦しむ人たち、すなわち自分へと単純化され無へと投げ込まれている人たちをどのように救うのか、という問題意識がハイデガーにはあったのだと思う。
まあそれがナチスドイツの国家体制につながっていったのだけれど。

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