ドンキホーテが風車に挑む、というのは有名だ。「ドンキホーテ」はかなりの長編なのだけれど、これ、けっこう序盤で挑んじゃう。もちろんあっさりやられて終わりだ。 現代小説だと、風車に挑んで負けても、試練を経て強くなって再び挑んで勝つみたいな流れになるだろうけれど、「ドンキホーテ」の場合、それはない感じだね。伏線を回収するみたいな、物語の収束的要素は一切ない。まだ「ドンキホーテ」全6巻中1巻目しか読んでいないのだけれど、風車は二度とでてこないだろう。   ドンキホーテがある町に行くと、ある美しい女性に恋焦がれてついに死んでしまった青年の葬式をやっていた。ドンキホーテが興味本位で葬式に参加していると、その当の女性が葬式の参列者の前に現れて、「私は好きで美しく生まれたわけではないのに、勝手に私の美しさに恋してそして勝手に死んでしまった青年に対して、私は何の責任もない」 的な大演説をする。演説が終わると、その女性は森の奥に消えてしまう。ドンキホーテは、その女性に興味を持って追いかけるのだけれど、見失ってしまう。  そして見失ってそのままだからね。その女性が落としたハンカチをドンキホーテは握りしめたとか、次につながるであろう伏線は一切なし。「ドンキホーテ」全6巻中、まだ1巻しか読んでいないのだけれど、この美少女はもう二度と出てこないだろう、というのが容易に推測される。  拡散する物語。  収束する小説を読みなれた人間には、「ドンキホーテ」って、なんだか奇妙な感じがする。後2000ページも残っているから、ここからすごく楽しみだ。