この世界で忙しくしていると、雪が白いとか花がきれいとか、そういうのを大事に思うことが本当になくなっちゃうよね。雪がふると電車が遅れるのではないかと最初に考えてしまう自分は、全く哀れなものだろう。  いつからそうなってしまったのか。  西日本生まれの私は、少なくても中学生のころは、雪が降ると皿に盛り付けて、ファンタグレープをかけてカキ氷にして食べてたけどな。   

白楽天 「夜雪」   

すでに衾枕(きんちん、枕元の意)の冷たさをいぶかり  
また窓戸の明るさを見る  
夜深くして雪の重さを知る  
時に聞く 竹を折る声   

 白楽天は天才だろうと思う。  

夜、うとうとしていたら、いつもより寒いような気がしてちょっと目が覚めてしまったとする。目を窓に向けると、いつもの夜より少し明るい気がする。雪が積もっているのか、と微かに思う。そして耳を澄ましてみると、笹に積もった雪が滑り落ちたであろう音が聞こえて、ああ、雪が積もっているのだなと微かに確信したという。    
主人公は眼球しか動かしてないから。  
眼球をコンマ何秒か動かしただけで、五言絶句になっちゃうという。  
これを言ってしまうと蛇足だとは思うけれど、「夜雪」を西洋哲学風に言えば、時間の無限分割ということになるだろう。