何度も読みたくなるような本はあるだろうか?   まず、ほとんどないと思う。特に小説形式のものは一回読めば終わりだ。小説というものは、基本的につまらない。ただでさえつまらないから、サイコパスの殺人鬼を出してみたりするのだろうけど、うんざりだ。サイコパス殺人鬼はクールでかっこよくて恐ろしいみたいなことなのだろうけれど、論理は逆だ。あんなものは、人を殺すことによる刺激によってしか自分が生きているという実感が得られないという、ただの哀れな人間としか考えられない。小説とか映画とか、それを文学だとか芸術だとかとみんな持ち上げるけれども、形式の限界なのだろう、短時間で効果を上げるために哀れな人間に頼らざるを得なくなっている。このような一発形式のものを、記憶力の確かな人が2度も3度も読んだり観たりする気にはならないだろう。   ところが幸いにもだよ、この世界には一発形式の小説や映画があふれかえっている。死ぬまでの暇つぶしになら、このようなものを鑑賞するのもいいかもしれない。しかし、個人的にはお断りだ。   孟子や吉田松陰はすばらしいのに、近代以降のメインの表現形式が、なんでこんなに力がないのかって不思議といえば不思議だよね。