プラトンが語るには、国家とは、哲人国家、名誉国家、寡頭国家、民主国家、僭主国家、この順番で移行するというか堕落するという。これだけ単純化してしまうと、昔の人がとぼけたことを言っているみたいなことになるんだけれど、決してそのようなものではない。

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分かりやすいところで名誉国家から寡頭国家への移行についてのプラトンの言説を聞いてみる。まず寡頭国家というのは金持ち支配国家というものだ。名誉国家を江戸幕府、寡頭国家を明治国家とリンクさせながら読んでみてほしい。  

「寡頭国家における最大の悪とは何か? それは自分の持ち物をすべて売り払うことが出来て、他人がそれを手に入れることが出来るということ。そして売り尽した後、国家の構成員としてなんらの役割を果たすこともなしに、国家のうちに住み続けられるという点だ。ただ貧民、困窮者と呼ばれながらね」    

明治初期以降に現れた都市貧民層とは何なのか、というのは問題になるところだろう。ある人はプロレタリアートの始まりであるというし、ある人は松方デフレによる資本主義の本源的蓄積だという。

しかしね、プロレタリアートだとか本源的蓄積だとか、ただ新しい現象に新しい言葉を押し込んで分かっているような気になっているだけなのではないのか。このプラトンの言説こそ、明治国家に都市貧民層が急激に増えた理由を説明しているのではないだろうか。

明治大正は立憲国家といいながら、制限選挙制だった。制限選挙とはある一定以上の納税がないと選挙権も被選挙権もないというものだ。ある意味奇妙な制度だ。

江戸時代には貧農にも村の意思決定に参加する道があったし、昭和以降は普通選挙だ。なぜ明治大正のみ制限選挙なるねじくれた制度だったのか。プラトンに言わせれば、それは寡頭制国家だったから、金持ち支配制国家だったからということにな。きわめて明快だよね。  

ではもう一つ、分かりやすいところでプラトンの寡頭国家についての言説を紹介してみる。名誉国家から寡頭国家に移行するということはどういうことなのかについての説明。   

「名誉支配制的な人間に子供がいたとして、父親が重要な役職にあったりしたのだが、やがて法廷に引き出されるような羽目に陥り、中傷者に痛めつけられたあげく、死刑にされたり、追放されたり、全財産を失ったりしまったりするわけだ」 
「息子のほうは、こういったことを目にし、自分でもつらい目にあい、財産を失ってしまうと、恐れをなしてただちに自分の魂の内なる王座からそれまでの名誉愛や気概の部分をまっさかさまに突き落とすだろう。そして貧乏のために卑下した心になって、金を儲けることに転向し、けちけちと少しずつ節約したり、せっせと働いて金をかき集めるようになる。そのような人は、金銭を愛する欲望的部分を魂の王座にすえ、自分の内なる大王としてたてまつることになるのだと、君は思わないかね?」  

明治に入り、「立身出世」というのが一大ブームメントになるのだが、立身出世なる意識がどこから現れたのか、明確に説明されてはこなかっただろう。プラトンの言説を応用すれば、それは没落士族の子弟の意識から生まれたということになるだろう。なんせ当時の武士は一時金を貰う代わりに年金カットみたいなことになったから。プラトンはきわめて巧妙に明治の立身出世熱の根源を説明してくれる。  

ここまで来ると、プラトンなるものは哲学者というより、預言者だろう。日本人ですら説明できない現象を、2500年前のアテネ人が言い当てるわけだから。   

さらにプラトンの恐ろしいところは、民主国家の後に僭主国家が現れると説明しているところだ。今の西側が民主国家群だとして、この後に僭主国家が現れるという。ここまで言うと、預言というり予言だよね。プラトンの「国家」のなかには、民主国家が、どのようにして僭主国家に移行するかというのが明確に書かれている。 

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