漫画とか小説とか、なんだかクールで無限の力を秘めていそうなヤツが現れるんだけど、現実にはそんなヤツいないだろうと思う。  この人は尊敬できるなんていう人間に実際に会ったことはない。まあこれは当たり前の事で、みんなそれぞれ自分のことに精一杯ということでもあるだろう。   丸山真男の「軍国主義の精神形態」はよく出来た評論で、丸山真男、結構調べたねと思う。戦後4年でここまで書けたら本当にたいしたものだと思う。戦前の日本の指導者層の精神が矮小であって、そして何故矮小だったのか、ということが丁寧に書かれている。日本の指導者層は、戦中、国民には玉砕というもの呼号しながら、戦後に戦犯指定されると生きながら巣鴨に収監されたという。ここに精神の矮小さが凝縮されていた。しかし戦前はそんなこと、分からなかった。将軍が大きい態度で大言壮語するから、国民はここまで言うからには本物なのだろうと判断してしまったというのはあるだろう。虚構に期待した人たちがいて、虚構に応えた人たちがいたというだけなんだよね。  真実の人間か虚構の人間かなんて、本人ですらギリギリにならないと分からないわけで、これは日頃の心構えなんだろう。  もしギリギリ場面で逃げ出しそうになったとき、心の深遠から「卑怯者」という声が聞こえてくるようになれたらいいのになって思う。