「ブレイン.アーキテクチャ」という本は、現代の脳神経科学がどこまで進んでいるのかというもの。少なくとも人間には意識というものがある。ではこの意識とはなんなのか。意識の問題に迫るルートは二つあって、一つは下から、すなわち人間の脳はどのように進化してきてどのような構造になっていてその構造をトータルで考えるとどのような世界観が得られるのかというもの。もう一つは上から、すなわち沈思黙考、意思や社会的諸条件の意識的解析によって意識の無矛盾の構造にいたろうとするもの。                                       後者は西洋哲学という概念にかぶるところもあるだろうけれど、このような西洋哲学が成功しているとも思えない。人間の神経系というのはあまりに複雑すぎて、その全容を解明するというのは無理な感じがする。特に上からは無理。可能性としてあるのは下から、すなわち科学的にということなのだろうけれど、ちょっとこれ現状はどうなっているのかと思う。                                                          この意識の問題というのは生物学にとってきわめて重要だと思う。これは生物学が一流の科学であるかどうかの試金石なんだよね。                                                           ちょっと言い遅れたのですが、私、昔、国立上位校の生物学科だったことがあります。                 で、生物学って言うのは意識の問題も解けていないのだから、物理学や化学に比べて落ちるところがある。これはちょっといいにくいのだけれど、生物学が二流の科学なら、その下にぶら下がる医学は三流ということになる。さらに精神医学は四流、すなわち科学かどうかも怪しいことになるね。                             生物学にも強みはある。遺伝子の基礎構造は分かっている。ワトソンとクリックがDNAの構造を明らかにしてくれた。ちょっと専門的に言えば、DNAは4つの塩基のつながりからなっていて、その4つの塩基が3つ一組で20種類の必須アミノ酸をコードしている。「ブレイン.アーキテクチャ」によると、一つの意味を持つ人間のDNA内の塩基の繋がりが3万から6万あるという。さらに、中枢神経系の主要な神経結合が約5万あると見積もられているという。そしてこの万単位の二つの体系の関係が分かれば人間というものが立体的に分かるという。                これは大変だよ。二つの関係ではない、二つの体系の関係だから。                            うーん、生物学ガンバレ。