王陽明の陽明学は明らかに日本の近代を貫いていると思う。陽明学を一言で言い表すなら、                                                                                      「おまえはおまえの戦場へ行け」                                                                                                                そういうことだと思う。陽明学のすごいところは、切り詰めて言えば、この世界に生まれたのなら戦う場所が与えられているはずだという前提のあることだ。                                                                                                                 江戸末期、儒学というのは庶民の間にも広く浸透していた。高杉晋作が功山寺挙兵の後、農民を兵隊として募集したところ、一夜にして3000人が集まったという。第二次長州征伐で長州においては祖国防衛戦争の様相を呈した。こうなったら長州が防長2国しかないといっても負けようがないだろう。                                                                                             長州をここまで押し上げたものが、陽明学に基礎を持つ一君万民思想だろう。明治国家は、この一君万民思想を裏切った。だから大正維新とか昭和維新とか何度でも革命が起こる。テロが法律で禁止されているからと言ったって、何の意味もないんだよ。結局満州事変、二二六事件、太平洋戦争となって、最後は総力戦体制となった。「おまえはおまえの戦場へ行け」という言葉通りになった。                                                                                                         あれから70年たっても、この言説は生きている。何故働くのか、何故結婚するのか、何故子供を育てるのか、突き詰めて考えればそれは私たちが戦っているからだと思うよ。