ヒステリックに中国や韓国を嫌ったり、日本への移民をことさら拒否したりする人がいる。彼らは「日本」という抽象的なものに価値を見いだしているのだろう。
人間と世界との関係というのはそもそも調和的なものではなく、本来は相互排除的、二元論的なものだ。世界は不安に満ちている。かといって昔のように地域とか家族とかが、この不安な世界から個人を守ってくれるわけではない。

そこで登場するのが抽象的な「日本」というものだ。

このような心理構造は、よく言えば繊細、悪く言えばプリミティブなものだと思う。
ヨーロッパの中世、ゴシック形式の枠の中で神秘思想というものが生まれた。この神秘思想は今のカテゴリーに当てはめるとロマン派ということだろうけど、神秘思想においては人間と世界の二元化された対立というものはかなり緩和されている。神秘思想の中では惨めな人間の自我が価値あるものと認められる。ゴシックの形式の中で人間は神の器になる。
何でも同時にいいところがあったり悪いところがあったりということだと思うのだが、この神秘思想のいいところは人間と世界との対立感が緩和されることによって、個人が伝統的集団から離れて世界と戦うことが出来るようになった点だ。悪いところはちょっと狂信的なところだと思う。