資本家にとっての絶対的剰余価値の生産とは、労働者に長時間労働をさせてより儲けようという事だったのですが、1日は24時間しかないわけで、長時間労働といっても限界があります。
資本化が限界にぶつかって、そして出てくるのが相対的剰余価値の生産です。労働者を同じ時間使うにしても、機械を使う等して生産過程を合理化すれば、より賃金を少なくより生産物を多く出来るわけです。

生産過程を合理化すれば儲かってハッピーみたいな感じになると思いますよね。しかしなかなかうまくはいかないのです。誰かがうまくやれば、みんなその事を真似るようになります。結局生産する商品の値段が下がって、そして利益率が下がるという。利潤は更なる合理化に資本家を駆り立てることになります。

資本主義の歯車が回り出すのです。

西暦1800年まではヨーロッパも東アジアも経済的にはたいした差はありませんでした。1800年ごろから、この相対的剰余価値の歯車が回り出し、ヨーロッパと東アジアには決定的経済格差が発生し始めます。

「資本論」の岩波文庫2巻を要約すると以上のようになると思います。

しかし資本論の要約なんていうのは多くの人がやっている事でどうという事もないです。資本論を実際読んでスゴイナと思うのは、マルクスが19世紀前半のイギリスで一般の人々がどのように生活していたか、19世紀前半のイギリスの子供達がどのようにひどい環境にあったのかの例を延々と記述することです。マルクスの描く歴史には英雄なんていうものは存在しない。勃興する資本主義下で必死に生存しようとする人々が存在するのみです。

知識人の欠点というのは、ぶっちゃけていえば常民を馬鹿にするということにあると思います。どこかで自分を貴族だと思っているのです。マルクスでさえ他国の子供に真剣に同情しているのです。これはどういうことなのだろう。万人に優しい気持ちというのを力強く押し出す、ということは大事な事だと思うのです。大概そのような態度は嫌われるのです。余計な世話と思われるのでしょう。そう思われても敢えてマルクスは言うのです。

あなたの呪いを解いてあげよう



資本論
絶対的剰余価値の生産            
相対的剰余価値の生産
資本の蓄積過程
本源的蓄積
岩波文庫 第四巻
岩波文庫 第五巻
岩波文庫 第六巻
岩波文庫 第七巻
岩波文庫 第八巻
まとめ
廣松 渉 「マルクス主義の地平」


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