magaminの雑記ブログ

2019年06月

大正3年に始まった第一次世界大戦は大正7年に終わります。

日本にとって第一次世界大戦は天祐で、景気が過熱し成金が大量に発生します。戦後日本で言えば、1980年代冷戦末期におけるあの大バブル期みたいなものです。

大正7年時の総理大臣は原敬です。

原敬は当時の大政党である政友会の実力者で、明治政府藩閥政治の牙城を徐々に崩して本格政党内閣を作りました。
原敬の政治基盤というのは地方の名望家で、地方にいかに公共事業を配分するかというのが原敬の政治力の源泉でした。戦後日本で言えば、竹下登や金丸信ということになりますか。

政治力の源泉が公共事業の配分という場合、疑獄事件というのが起きやすいのですが、そのような政治腐敗に憤慨した一青年によって、大正10年原敬は暗殺されます。

第一次世界大戦後だんだん不景気になって来るのですが、それに追い打ちをかけたのが大正12年の関東大震災です。
そのような閉塞状態を脱却しようということで普通選挙運動というのが盛り上がります。
大正末の日本の選挙制度は、ある一定の税金を納めた男子しか投票権がないという制限選挙だったのですが、普通選挙運動というのは、この納税額の縛りを取り払おうというものです。

この普通選挙運動を主導したのが、政友会のライバル政党である憲政会です。
この普通選挙運動の盛り上がりによって憲政会は政権を取り、大正13年憲政会の党首である加藤高明は総理大臣となります。

これは、1993年に選挙制度を小選挙区制にすることが政治改革であるとして非自民政権をつくった細川政権と似たところがあります。

政治改革で景気が回復するわけではありません。第一次世界大戦後の継続的な景気の悪化で、銀行に大量の不良債権が発生します。昭和2年、台湾銀行という当時の大銀行がヤバくなって、総理大臣であり憲政会の党首であった若槻礼次郎は台湾銀行に公的資金を投入しようとするのですが、これを枢密院によって拒否され、若槻内閣は総辞職します。
枢密院というのは、今でいう有識者会議みたいなもので、大相撲で言う横綱審議委員会的なものです。

昭和2年の若槻内閣崩壊というのは、1996年の村山富市内閣崩壊と似ています。当時の村山富市も住専処理問題解決に自信がなかったから内閣を投げ出したと言われています。

憲政会の若槻内閣の後は、政友会の田中義一内閣です。陸軍大将だった田中義一を政友会が党首にするために引き抜いたという経緯があって、田中義一内閣というのは武断的な内閣でした。

当時の昭和天皇および西園寺公望などのとりまき貴族というのは思想的にリベラルで、田中義一内閣が気に入らなかったのです。
昭和3年、張作霖爆殺事件というのが起こって、昭和天皇が田中義一を叱責するということになって、田中義一内閣は崩壊。憲政会の浜口雄幸が総理大臣になります。

当時の昭和天皇と取り巻きの大貴族を現代で例えるなら、平和憲法とそれを支える大マスコミということになるでしょう。
2009年、自民麻生内閣をさんざん叩いて、国民を民主党政権に誘導したのは大マスコミでした。
昭和天皇勢力は、田中義一叱責事件以降、軍をコントロールできなくなっていくのですが、大マスコミも10年前の民主党キャンペーン以降その力を失っていったのと似ています。

昭和4年、ニューヨーク株式の大暴落が起こり、世界的大不況が始まります。
この大不況に対して憲政会の浜口内閣の取ったのは金本位制に基づく金解禁政策というものです。金解禁政策とは簡単に言うならば「円高」政策です。円高によって非効率な国内の産業を淘汰して、より筋肉質な経済体制をつくろうというものです。

昭和6年、イギリスが金本位制を離脱します。

ヘゲモニー国家イギリス自らの金本位制離脱により、憲政会はその政策の基盤を失います。憲政会の第二次若槻内閣は崩壊して、政友会の犬養毅内閣が成立します。

憲政会は金本位制にこだわるのですが、昭和7年の総選挙で政友会に敗北します。

そして、昭和7年5月15日、五一五事件により犬養総理が暗殺されます。

憲政会の取った「円高」政策というのは、リーマンショック以降民主党の取った円高政策と政治思想的には同じでしょう。景気の悪い時こそ我慢しようという、立派な中産階級向けの政策なのでしょうが、多くの国民がついてこれなかったという。
政治家やマスコミは苦しい時こそ頑張れというけれど、国民にしてみれば、

「そりゃーお前らはいいよなー」

みたいなことになってしまいます。

昭和7年以降も同じで、天皇やその側近、政党政治家の信用は傷つき、国家全体に対する統制力が失われてしまって、太平洋戦争敗戦に至る激動の時代が始まったということになるでしょう。










日本改造法案大綱
大正十二年五月


1 華族制廢止

2 貴族院ヲ廢止
3 普通選拳
4 私有財産限度。日本國民一家ノ所有シ得ベキ財産限度ヲ壹百萬圓トス

5 私有地限度。日本國民一家ノ所有シ得ベキ私有地限度ハ時價拾萬圓トス
6 私人生産業限度。私人生産業ノ限度ヲ資本壹千萬圓トス
7 幼年勞働ノ禁止。滿十六歳以下ノ幼年勞働ヲ禁止ス
8 國民教育ノ權利。國民教育ノ期間ヲ、滿六歳ヨリ滿十六歳マデノ十ヶ年間トシ、男女ヲ同一ニ教育ス
9 國民人權ノ擁護。日本國民ハ平等自由ノ國民タル人權ヲ保障セラル
10平等分配ノ遺産相續制。
11朝鮮人ノ參政權。約二十年後ヲ期シ朝鮮人ニ日本人ト同一ナル參政權ヲ得セシム
12有婦ノ男子ニシテ蓄妾又ハ其ノ他ノ婦人ト姦シタル者ハ婦ノ訴ニヨリテ婦人ノ姦通罪ヲ課罰ス
13
國民教育ノ期間ヲ、滿六歳ヨリ滿十六歳マデノ十ヶ年間トシ、男女ヲ同一ニ教育ス

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