この本は明治26年成立、さらにこの本には鋭い思想の切れ味はありませんが、誠実な男の魂の遍歴みたいなものはあります。

内村鑑三は少年の頃から非常に信心深かかったそうです。神社の前を通るたびにお祈りをするのです。日本は八百万の神の国ですから、内村鑑三はしょっちゅうお祈りをしなくてはいけなかったのです。学校に行く時なんかはお祈りをしなくてもいいように神社のない道を通ったそうです。
しかし彼はキリスト教に出会います。キリスト教は一神教ですから、この宗教を新興すれば、彼は八百万の神に囲まれて絶えず祈らなければならないという脅迫感から解放されたわけです。

この誠実さははどうでしょう。
梶井基次郎の檸檬ですよ。

この魂そのままに、彼は北海道で学園生活を送り、アメリカに渡航して、そこで差別や善意をその誠実な魂に受け止めて、そして帰国するまでの物語が「余は如何にして基督信徒となりしや」となるわけです。

この本は英語で書かれたもので、はじめにアメリカで出版しましたが余り人気が出ず、10年後日露戦争で日本への関心高まっていたドイツでのドイツ語約でメジャーデビューみたいな感じだそうです。さらに日本語訳が出たのは昭和10年です。

岩波文庫の巻末をみると、1938年1刷りとなっています。2013年77刷りです。
ですから本文は英語からの日本語訳とはいえ、比較的重厚な日本語訳になっています。