福沢諭吉が語る明治維新の原因とは、

徳川300年の太平により日本人総体の知徳が増大して、日本封建制の枠組みが日本人にとって窮屈になった。そして日本人自らが明治維新によって日本人の新しい枠組みを獲得した、

というものです。

私は昭和初期にも同じ事が当てはまると思います。太平洋戦争の敗戦というのは、日本人が意識せずに自ら選んだ日本の社会構造を変革するためのやけっぱちの戦略であると。

合理的に考えれば、あの戦争は不思議な事だらけです。事実だけを遡れば戦争を主導した中心人物なるものは判然としない。アメリカの国力を知っている人間には、アメリカと戦って勝てる道理はないというのは明らか。戦前あれだけ皇国史観とか言っておきながら、戦後進駐軍が来ても日本人はきわめて従順。
あの戦争の原因についてすべてを一括して説明する論理というのは、福沢諭吉の明治維新理論を転用したものが一番しっくりくるのではないでしょうか。

憲法9条の存在理由というのはいろいろあるでしょうが、一番大きいのは戦前の過ちを繰り返さないということでしょう。戦前のように日本の軍事力を横領してしまうヤツが現れるかもしれません。しかし軍事力を持っていなければ、そんな心配は無用です。

しかし太平洋戦争を日本人が自らを解放するための非常手段だった、という福沢諭吉流の解釈をすると物語は変わってきます。
日本は明治維新と太平洋戦争の敗戦という二度の革命で、かなり文明的で現代的な国民精神の枠組みをもつ国家になったのだと思います。今の日本に何らかの精神的な自由が大いに不足していると考えている人がいるでしょうか。精神的な悩みのある人もいるでしょう。でもそれは突き詰めて言えば世界は自分の思い通りにならないというレベルのもので、それは悩みというより病気です。二度の精神の開放で現代の日本人はかなり自由になった。さらにですよ、普通に考えて、周りを見渡してみて、今の日本が海外に対して侵略戦争なるものをやりかねないなんていう兆候があるでしょうか。

日本はすでに歴史的にみても、侵略するより侵略される方を心配すべき国になっているのではないでしょうか。憲法9条は残念ながら必要ないのではないでしょうか。
私は政治的には中道より少し左だと思います。能力を発揮できない環境にいる人たちには国が大いに手を差し伸べるべきだと思います。人間の善意というものを信じています。社会民主主義という言葉を聞くと少し癒された気持ちがします。しかし憲法9条は必要ではないと思います。

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