近衛上奏文とは、太平洋戦争終戦間際に歴代の総理大臣が一人ひとり天皇の前に呼ばれた時に、近衛文麿が天皇に
何で日本はこんな事になったのか
みたいな事の私見を報告したものです。

その内容というのをザックリ要約すると、
この戦争は共産主義者の陰謀。陸軍に紛れ込んだ共産主義者が、擬似共産主義である統制経済を推進している
というものです。

普通に考えれば、近衛は終戦間際にして妄想にとらわれていると言うところです。陰謀史観が好きな、物事を簡単に考えがちな人は、近衛上奏文を補強するような材料を無理やり引っ張ってくることでしょう。

勝田龍夫が当時内大臣であった木戸幸一に近衛上奏文についてインタビューしたところによると、木戸は
「近衛は共産革命を心配しているようだったが、私はそうでもなかった」
ひどくあっさりしたものです。

近衛は当時陸軍の皇道派と近く、一人一殺の井上日召も近衛邸に出入りしていた「!」そうです。この皇道派に利用されたか、もしくは皇道派を利用して統制派が牛耳る陸軍を抑えるためか、おそらくその両方だと思いますが、この近衛上奏文で統制派を牽制して終戦工作をしようということだったのでしょう。政治の筋としてはあまりいいものだったとは思わないですが、彼は彼なりに一生懸命だったのです。近衛文麿は明治以降の最低の総理大臣だという評価もありますが、そうでもないでしょう。彼なりに命をかけて出来る限りのことをしようとした時もあったわけですから。
もっとどうしようもない総理大臣もいたのではないでしょうか。例えばあの人とか、エーほかにあの人とか。