これはとても分かりやすい本でした。例えば江戸時代の儒家の分類分けとか参考になります。

誰も江戸時代の儒家なんて興味がないでしょうか。でもここが分からないと、明治国家が分からなくなってくるのです。明治国家が分からないと現代日本が分からない。現代日本が分からないと自分自身が分からなくなります。最後には何がなんだか分からなくなるのです。

そして、何がなんだか分からないまま自慢げに焼き鳥のウンチクを語り出すわけです。

明治国家は西洋文明にあこがれて、その歩みを始めます。明治39年原勝郎は「日本中世史」という本を書きます。これ、かなり有名な本らしいです。この本によって明治日本は日本中世封建制とヨーロッパ中世封建制に共通点を見いだします。憧れのヨーロッパは中世においては日本と同じ封建制だった、ヒャッホーみたいな感じです。中国がだめなところは、2000年以上も前から郡県制だったところ。しかし日本はヨーロッパと同じく中世においては封建制だった。やっぱり日本はヨーロッパにつづいて文明国になるべき国だったんだ。よかった、よかった。

かわいそうな日本。

偉大なヨーロッパ人は私達とと同じように頭に髪の毛が生えているんだと言って喜んでいるのと同じレベルでしょう。イギリスに産業革命が興ったのは、イギリス人が優秀だったのではなく、ヨーロッパがアメリカ大陸を搾取した結果です。ある一定の富の蓄積の結果、産業革命が起こったのです。何故ヨーロッパが東アジアより先にアメリカ大陸を搾取できたかというと、それは近かったからでしょう。アメリカまでの距離が。

頑張ってもどうにもならないこと、というのが歴史の中にはあるのです。太平洋戦争というのは日本にとって古今未曾有の大敗でした。あの大敗がゆえに明治国家は失敗国家だった、明治人のがんばりは無駄だった、伊藤博文は所詮農民だ、あの戦争で死んだ人間はみんな犬死だ。言おうと思えばなんとでもいえるのです。

でもまだ日本はここに存在するわけで、世界の辺境でギリギリの歴史を生きたかつての日本人の話を聞くことは、今の私達を知る手がかりになるのではないでしょうか。